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2019.05.30

「伝えることに苦しんだ原体験があって、人と人をつなげるデザインに出合えた」 デザイナー・スズキアユミさん

スズキアユミ

デザイナー。UNITZ執行役員。ブログ「デザインメモ」運営・執筆

東藤なつき

フリー編集者、校閲者。たまに取材執筆もします

デザイナー歴7年のスズキアユミさん(UNITZ執行役員/デザイナー)。デザインメモというブログを2013年から運営している。開設当初はサイトのデザインにはこだわるものの、ブログを書く行為がなかなか続かなかったのが、「1か月毎日書く」ということを自ら課してみたところ、その後も書くことが習慣になったという。

スズキアユミさん。UNITZ表原ワークプレイスにて

スズキさんのブログやnoteを拝見し、お仕事で得たことや学んだこと、考えたことを言葉にして伝えるのはもちろん、ご自身のことについても言語化するのが上手な方だな、と感じた。

きっと、たくさん思考して、たくさん書いてきた方なんだろう。実際お会いしてお話してみてもその印象は変わらず、1時間という取材時間の中で、とても充実した内容をわかりやすくお話してくださった。

スズキさんは、デザイン系の専門学校に通っていた頃から、デザイナーは“天職”だと感じていたそう。スズキさんがどのようにして、生きがいともいえる「デザイン」にたどり着いたのか、お話をうかがった。

書道以外の好きなことは隠れてやっていた子ども時代

――幼少期はどんな子でしたか? また、何が好きでしたか?

小さな頃は超根暗で(笑)、真面目な子でした。工作や絵を描くことが好きだったんですが、そういうことをしても、周囲の大人はあんまり褒めてくれなくて。真面目に勉強して、テストでいい点をとったほうが褒めてもらえるから、「(工作や絵を描くことは)あんまりやっちゃいけないのかな」と思って、隠れてやっていたんです。

でも、小学1年生から通っている書道教室は、勉強以外で唯一がんばってやったら大人に褒めてもらえる場所で。書道は自分の世界だけでものをつくれるし、集中して書いていると気持ちが落ち着くので、今でも好きで続けています。

――小さな頃からずっと書道が好きなんですね。

はい、それで高校も書道学科に入ったんですが、授業の半分が書道関連で、書道コンクールのための制作に追われる日々でした。がんばっても周りにもっとうまい人がいるから、コンクールでは全く選ばれなくて。だんだん書道が楽しくなくなって疲れてきてしまい、なんのために書道をしているのかもわからなくなっていました。進路についても悩み始めて……。

――高校生の頃って、将来のことを真剣に考え始めて、悩む時期ですよね。

やりたいこともないし、自分に何かスキルがあるとも思えなくて。書道家になれるのはほんの一握りだし、それ以外は学校の先生とか、直接書道は活かさずに文系の会社員になるといった道が考えられたんですが、自分にとって全然面白そうに思えなかったんです。すごく悩んで、うつ状態になってしまい、1年ほど学校に行けなくなり、その間は好きだった書道もできませんでした。

小さな頃、「絵描きになりたい」と親に話したら、「それでは食べていけないよ」と言われ、それから「将来の夢」を書くときは、周りの子が言っている職業に合わせたりするようになりました。そんな風に周りに合わせて自分の本音を外に出すことを抑えていたんですが、ひきこもっていたことが人に合わせるのをやめるきっかけになったように思います。

――その後はどうされたんですか?

その後、「このままじゃダメだ」と思い、高校を卒業するために別の学校に転入しました。そうしたら書道をマイペースにやれるようになって。肩の力が抜けたのがよかったのか、賞もとれるようになったのですが、その辺りから書道は仕事にしないと決めました。

専門学校で初めて「学校が楽しい」と思えた

――この頃は、まだデザインには出合っていないんですね。

そうなんです。高校卒業後は手に職をつけたいと思い、色々な専門学校を調べているうちに、初めてデザイナーという職業を知りました。

実は中学生のときから、自分のホームページをつくり、創作した詩やイラストを載せていたんです。サイトデザインのテンプレートを参考にして自分のホームページをつくっていたんですが、その後、私自身も個人創作者向けにサイトデザインのテンプレートを配布するようになりました。

(中学~新卒の頃、スズキさんが運営していたサイト。クオリティの高さに驚愕!)

そういった活動と、WEBデザイナーの仕事内容が近いことがわかって、デザイン系の専門学校のオープンキャンパスに行ってみました。デザイナーを目指す人は、美術系の勉強をしてきた人が多いんです。私は書道しかしてこなかったので不安もあったんですが、オープンキャンパスで書道をしている先輩に偶然会えて。手を動かしてものをつくったのも楽しくて、デザイン系の専門学校に行くことを決めました。

――専門学校に入られてからはどうでしたか?

専門学校に入って初めて「学校が楽しい」と思えるようになりました。それまでは自分が楽しい、好きだと思っていることを周りに隠していてたんですが、それも変わっていって。

授業で、課題に沿ってつくった作品をみんなで批評し合う、批評会というものがあるんですが、たくさんの人に自分の作品をみせるのが苦手な人が多いし、私もそうでした。でも、そこで「デザインはみんなにみてもらって成立するもの」といったことをある先生に言われて。「あ、隠さなくていいんだ。むしろ、みてもらうためのものなんだ」と気づいて、すごく衝撃的でした。

それからは、みんなに自分の作品をみせることも、皆が各々の感性でつくった作品をみるのもすごく面白いと思うようになりました。

――自分の好きなことを周りの人と共有するのが楽しくなってきたんですね。

学校の授業は毎日新しいことが学べるし、純粋につくることが好きで、楽しくてやっていたら、評価がついてきて。特待生に選ばれて、卒業生総代も務めることになりました。

よいクラスメイトにも恵まれて、だんだん自分の作品にも自分自身にも、自信が持てるようになりました。肩の力を抜いて楽しんでいたら、あとから評価がついてきたというのは、書道のときと似ているかもしれません。

伝えることに苦しんだ経験がデザイナーへの道につながった

――なんて素敵な学生時代…! 最後に、スズキさんにとってデザインってどんなものなんでしょうか。

デザイナーは、クライアントだったりサービスをつくっている人と、それを使う人の間にいて、両者をくっつける接着剤のような立場、言わば「つなげ役」だと思っています。

いろいろな種類のデザインがありますが、クライアントやサービスを使う人のことをよく分析・理解して、いろんな人と関わりながら形にしていく商業的なデザインが私は特に好きです。

昔は引っ込み思案で自分の言いたいことを人にうまく伝えられなくて、隠れて創作活動をしたり、ひきこもったりしていたことが原体験になっていて、その後、人に伝える手段としてデザインを見つけました。だからこそ、誰かの「伝えたい」を私が間に入ることで伝わるようにしたい、という気持ちが強いのかもしれません。

***

スズキさんが執行役員を務めているUNITZさんでは、随時メンバーを募集中だそうです。
気になる方はこちらから ↓
https://www.green-japan.com/mobile/company/6212 

***

スズキアユミさん プロフィール
1990年生まれ埼玉県出身。都内のデザイン専門学校を卒業後、Webやアプリなどのデジタル分野中心のデザイナー。アート的な表現よりも、レイアウト/余白/UX/思考/ストーリー性のあるデザインが得意。趣味は20年以上続けている書道。現在は愛猫と都内で暮らす。
Twitter:@ayumidesign
note: https://note.mu/designmemo
blog:https://ayumi.design/

初出:https://note.mu/migimigidali/n/n645479362a0d(2019/02/07公開)

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