SPOTWRITE > スポーツ > サッカーと若者をつなぎたい、名古屋グランパス元インターン生 伊富貴直也さん
2019.05.30

サッカーと若者をつなぎたい、名古屋グランパス元インターン生 伊富貴直也さん

伊富貴直也

サッカーで好成績を残すも膝の故障で引退。大学で経営学等を専攻中

スズキヒデノリ

名古屋市、1985年生まれ。ライター、ブロガー、インタビュアー

本記事は、偏愛と日常を届けるインタビューメディア「aboutalkからの転載です。
転載元:
https://aboutalk.com/ni511soccer014/

サッカー愛に満ち溢れた大学生の伊富貴直也(いぶきなおや)さんに話を伺った。取材交渉をしているとき

そうだ、待ち合わせは栄にしましょう、グランパスのフラッグがたくさん立っています

とメッセージが送られてきたのだ。その瞬間、本当にサッカーが好きでその魅力を教えてもらえるんだ、と心にグッときてしまった。

Jリーグが発足したときにはまだ生まれていない伊富貴さん、彼の中にある熱い思いとはいったい何だろうか。

忘れようとしても、サッカーから逃れられない

――生まれは愛知県稲沢市、今は名古屋市に住む伊富貴さん、小学生から高校生までは滋賀で過ごしたという。サッカーとの出合いは小学生のころだった。

小学校のときに出席番号がとなりの友達にサッカーの楽しさを教えてもらったんです。その友達というのも、U-18日本代表などで活躍し、現在は北海道コンサドーレ札幌に所属している岩崎悠人選手なんです。

僕は中学3年生のときに怪我をしてしまって。また、岩崎くんのサッカーが圧倒的に上手かったのを一番近くで見ていたものですから。これは無理だ、という気持ちもあり引退という選択をしました。

サッカーが無くなった僕は、何もできるものがなく、本当にふさぎこんでしまったんです。

受験勉強で自分を追い込み、滋賀県内でサッカー部のない高校に進学することができました。サッカーの近くにいると、無茶をしてしまうと思ったんですよ。

でも、なかなか頭からサッカーを切り離すのは難しくて。

高校生のころに日経STOCKリーグ(※)をやったんですけど、そこでもトヨタ自動車、マツダ、松下電器など、サッカーチームの母体企業などをチェックしていました。

やっぱりサッカーは切り離せないんですよね。

※日経STOCKリーグ…中・高・大学生を対象にした、コンテスト形式の株式投資学習プログラム。運営は野村HD、日本経済新聞社

クラブの内側を知りたい、高校生インターンとして

――サッカーと自分の関係、これからどうしていいのか悩んでいた時期に助けてくれたのは、担任の先生だったという。

高校2年生の冬、そろそろ進路やこれからのことを決めていかないといけない時期でした。やっぱり頭からサッカーが離れなくて。

先生に「どうしたいんだ?」と聞かれたときに出た答えが「サッカークラブの中を見てみたい、お試しで働いてみたい」ということでした。

2019年4月、名古屋・大須にグランパスのショップができるという

当時はインターンという言葉も知らなかったんです。先生にインターンというものを教わったり、アドバイスをもらったりしてサッカークラブに電話してみたんですけどね、初めは断られてしまいました。高校生のインターンって前例が無いのもあってダメだったんです。

先生が電話を変わってくださって、僕の気持ちや本気さを伝えてくれたりしたんですよ。なんとか高校生インターンとしてサッカークラブで働けることになったんです。

地元は愛知県なので、名古屋グランパスエイトへの気持ちも強くて。自分の目で見てみたい、感じてみたい。それが叶ったんです。

スポーツは、する人・観る人・支える人

――高校生インターンの道を自ら切り開いた伊富貴さん、内側から見るプロサッカー、そこで感じたものは何だったのだろうか。

サッカーに限らずスポーツには、する人・観る人・支える人がいるんです。サッカー選手は「する人」、観客は「観る人」、スポンサーやサッカークラブは「支える人」です。

友人の岩崎くんが日本代表として活躍しているのを聞いて、感じるものがあったんですよね。彼はサッカー選手として、「する人」として僕に夢や希望を与えてくれたんです。

だから僕は「支える人」として、周囲の人やサッカーでつながった人に夢や希望を与えたい。そう思うようになりました。夢を輝かせたいんですよね。

実際に、サッカークラブの中に入って、発見の連続でしたよ。クラブの取り組みやマーケティング、人事、商品開発など、今まで見えなかったもの、知らなかったものを目の前で見ることができたのは、インターンの大きな成果だと思っています。

サッカー選手は表現者、掛け合わせることの大切さ

――Jリーグではクラブの本拠地を「ホームタウン」と呼ぶ。ホームタウンの地域社会と一体となったクラブづくりを行いながらサッカーの普及、振興に努めなければならないことから、ホームタウン活動という取り組みをするという。

ホームタウン活動ってご存知ですか。本拠地へのスポーツ普及や振興に努める活動なんですよ。例えばサポートタウン活動として、地域や商店街を盛り上げたり。大須商店街にのぼりを掲出しているのも、この活動の一環です。

他にもクラブ選手のトークイベントや、地元小学生へのサッカー教室を開催しています。

そういった場で、プロサッカー選手への憧れと、選手の得意なことを掛け合わせていければ、面白いことができるんじゃないかなって。その得意なことを引っ張り出したいんですよね。

今までの形は、クラブと地域同士でやりとりし、そこで決まったイベントに選手を呼ぶ、といったものでした。

そうではなく、選手の興味や特技を引き出し、発信することで、地域の企業などを引き寄せる形にしたい。 もしくは地域の良さを可視化して、選手に参加する活動を選んでもらえるようにしたい。

自分には分からない苦労があるとは思いますが、クラブという名の事務所をもっと機能させたいです。

選手の好きなことや興味のあることでホームタウン活動を行えば、より楽しく、より学んでもらえることができて、選手引退後のセカンドキャリア支援にも繋がっていきます。

一番大事なのは、「現役中にセカンドキャリアを考えろ」と支援するのではなく、結果的に「支援していた」という形を作ることだと思います。

選手にも好き楽しいをピッチ外で見つけ、表現し、追求してほしいですね。

まずは自分が選手と向き合い親密な関係になること、選手のメンターのような存在になっていきたいです。

また、サッカー以外の場所でも選手の存在が出てくると、サッカーに無関心だった層とのタッチポイントが増えてきます。選手には自分自身を表現してもらいながら、新しいことと掛け合わせていく。そこで生まれたタッチポイントから、お客さんをスタジアムに呼びたいですね。

一体感と笑顔の溢れるスタジアムに

表舞台で活躍する選手のためにできることは、スタジアムを満員にさせることだと思うんです。大勢のお客さんが応援してくれる、このチームに所属していてよかったな。って。

そのために僕自身ができること、それは「若者」「地域密着」です。

若者のニーズが分かるのは若者だと思うんです。自分が歳を取れば、若者の流行やニーズが理解できなくなります。 高校2年生のあの頃のように、課外で「挑戦したい」と思う学生や若者の気持ちにどれだけ気付くことができるか。

「挑戦したい」と強く思っている学生や若者は多くいるんですよ。

僕の場合は、大きな挑戦を受け入れてくれたクラブがあり、それが人生最大のターニングポイントにもなりました。

「挑戦をしたい」と強く思っている子たちに、まずはクラブ側が受け入れる体制が必要なんです。Jリーグが取り込めていない若者層を支える、という切り口で、特に若者の観戦者を増やしたい、「観る人」に繋げたいと思っています。

そうやって支える人として、一体感と笑顔の溢れるスタジアムを作り上げて、それを継続させていくこと僕がやっていくことなんです。

今はサッカーを好きになってくれる人を少しでも増やしたいので、初心者向けサッカー観戦ツアーを開催しています。みんなと一緒にグランパスを応援しに行きますよ。

友人からは「サッカー以外のことは興味ないの?面白いことがたくさんあるよ」と言われることもあるんですけど。

人生をかけてまでやりたい、それがサッカーなんです。

インタビューを終えて

サッカーが好きという気持ちだけでなく、その先のビジョンまで見据えてアツく語ってくださった伊富貴さん。

この思いを僕は伝えたいんですよ、熱パスです!熱パス!!

好きな気持ちを、熱(ねつ)パスで、まるでサッカーボールをパスするかのようにつないでいく。サッカーを支える人としての確かな強さと、グランパスを思う気持ちに触れたひとときでした。

若者の熱意と勢いで、サッカーの面白さをどんどん伝え、広めてくれることでしょう。ありがとうございました。

伊富貴直也
ツイッター…(@ni511soccer014)

写真提供…ぱくたそ

取材・写真・文…スズキヒデノリ(@acogale)

[aboutalk編集部]

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