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2019.05.30

あなたにこそ知ってほしい慢性疲労症候群

#慢性疲労症候群を拡散して委員会

慢性疲労症候群当事者。この難病のイベントや啓発活動を行う

萩原崇

あなたの魅力と強みを引き出し、一緒に笑顔を紡ぐライターです

自身が慢性疲労症候群でつらい状況ながらも、慢性疲労症候群を知ってもらうためのイベントを実施するツイッター名【「#慢性疲労症候群」を拡散して委員会】さん。

「慢性疲労症候群」とはどのような病気なのでしょうか。そして、それを知ってもらうためのイベントはどのような内容なのでしょうか。「慢性疲労症候群」そのものとそれを知ってもらうイベントについてスポットを当てて、12個の質問に答えてもらいました。この12個の質問を読むことで、慢性疲労症候群について知ることができます。

Q1. 慢性疲労症候群とは、どのような病気なのでしょうか?

症状としては激しい倦怠感と易疲労、脱力症状があります。5メートル歩けば、疲れてしまい身体が動かなくなります。先輩患者さんには10年、20年と寝たきりの生活を送ってらっしゃる方も多く、更にフローレンス・ナイチンゲールは38歳から亡くなる90歳まで慢性疲労症候群でほとんどの時間をベッドで過ごしたと言われています。

慢性疲労症候群は国内に8~24万人の患者がいると推定されています。1番多いのは20~30代に発症するケースですが、50代で発症する方も10代で発症する方もいます。

お仕事をして溜まる疲労や家事をして溜まる疲労、つまり俗にいう「慢性疲労」と「慢性疲労症候群」は全く異なります。テレビCMなどで言われる慢性疲労は十分な休息を取ることで回復します。しかし、慢性疲労症候群は家の中でのわずかな移動といった労作で異常な倦怠感や疲労が溜まっていきます。残念ながら今のところ、原因は不明で根本的な治療法が見つかっていません。

Q2. 発症はいつ頃で、何年ほど病気の状態なのですか?

2013年5月からなので6年ほどになります。仕事には自転車で通勤していたのですが、ある日、突然自転車のペダルを踏み込めないことに気が付きました。おかしいと感じてから、ひと月後には仕事を行うなんて考えられないほどの疲労感に襲われ、身体を動かすことができなくなってしまいました。

Q3. いま、一番苦しんでいることはどういうことでしょうか?

やりたい事があるのに、それに見合うだけの体力がなくなり、姿勢を保てないことです。車椅子を押してもらいながら出かけても、ちょっとした段差や振動、電車や車に乗っていても加速や減速時に加わる圧力などですら体にとって大きな負荷となり、首が頭を支えきれなくなってしまうこともあります。

長い闘病生活の中でもちろん筋力自体も衰えますが、残っている筋肉すら動かすことが十分にできません。今年に入って急に日常的に呼吸が苦しくなり、呼吸器内科で検査をすると著しい肺活量の低下が認められました。肺の筋肉を動かす脳の指令や中枢神経が原因である可能性を指摘されています。このように様々な異常・症状が起きますが、原因がわからないため根本治療ができないのは辛いです。

また今後良くなるのか、悪くなるのかがわからず、人生計画が全く見えなくなりました。

Q4. 「慢性疲労症候群」という名前についてどう思いますか?

健康な人が感じる「疲労」の延長線上のものと混同されやすいのが問題だと思います。人体の3大アラートの1つである「疲労」は現代人のほとんどが経験したことはあると思います。しかし、休んでも治らないのが病的症状であり、それが慢性疲労症候群です。

「疲労」の延長と誤解するのは一般の方のみならず医療従事者の中にもいて「気の持ちようだ」などと病気と認めない発言をする医師もおり、正しい診断ができなくては正しい治療法に繋がりません。誤った治療法は副作用などの危険をもたらすので、正しい線引きが行えるような呼称になって欲しいです。

本当は「慢性疲労症候群」という呼称を使いたくないけれど、世界の医学会や厚生労働省などの官庁レベルでの改称が行われないと「自分の病気は何だろう?」と調べる方や「この病気を診てもらえる病院を探そう」という方が情報にたどり着けなくなる可能性があるので「慢性疲労症候群」という呼称を使わざるを得ません。だからこの呼称が抱える問題点も含めて知って頂くしかないと思います。

Q5. いま、慢性疲労症候群についてみんなに知ってもらいたいことは?

海外の研究者によると、重度の慢性疲労症候群患者は癌や心臓病、エイズなどの他の主要な重症疾患と同様に注目に値する病気です。それにもかかわらず「疲労」という実態に見合わない言葉によって、その重篤度が全く伝わりません。

「疲労」という言葉は使われていますが、慢性疲労症候群はただの疲労とは関係がありません。家族を含め、専門外の医療・福祉従事者、制度を作る人や運用する人等にも、とにかく全く理解されていないことが問題だと思います。

また、現在の研究の一説によると慢性疲労症候群における脳の炎症などは不可逆的なダメージを起こしていないとも言われています。つまり、適切な治療法が見つかれば、健康に戻れる可能性は極めて高いのです。若い年代に発症者が多いので、早く社会復帰できるように原因や治療法確立のための研究の重要性も知ってもらえれば嬉しいです。

Q6. 今回のイベント「FOLLOW ME~ME presents 慢性疲労症候群を応援する音楽とおしゃべリのライブ vol.1~」の目的は?

慢性疲労症候群が抱える様々な問題を解決するには当事者だけではなく「興味のない人」にも社会問題として知って頂く必要性を感じました。そこで「音楽やおしゃべり」を楽しみに集まった方達に少しお時間を頂いて、慢性疲労症候群を知って頂く機会を作りたいと思ったのです。

Q.7 今回はどんなイベントなのですか?

難しい話、深刻な雰囲気が苦手という方にも、気楽にお集り頂けるイベントです。慢性疲労症候群患者を家族に持つME(ミー)さんを中心に、素晴らしいミュージシャンや、たけし軍団のグレート義太夫さんを迎えてのイベントにするつもりです。

Q8. 実施に至った理由はどういう経緯について教えてください。

昨年の慢性疲労症候群世界啓発デーでは「5月12日昼12時に一斉に『#慢性疲労症候群』を含む発信をしましょう!」というお声掛けしました。ネットでトレンド入りすると全く興味のない方にも興味を持って頂くチャンスが増えると思うので、今年は更にどんなアプローチができるか?と考えて、イベントを計画することにしました。

Q9. どんな人が出演するのですか?

MEさんは慢性疲労症候群患者を家族に持つミュージシャンです。「#慢性疲労症候群」を拡散するとともに委員会の音楽部長的存在でもあります。今回のイベントだけでなく、ギターの弾き語りを都内のライブハウスでする時には毎回チラシを配りながら啓発活動をしています。

グレート義太夫さんは言わずと知れた、たけし軍団のメンバーであり、偉大なミュージシャンでもあります。糖尿病を長年患い、週に3回5時間の透析を10年以上受けている闘病生活の先輩でもあります。過酷な闘病生活を送りながらも「透析さえ続けていれば好きなことができる」と非常に前向きで、日本一明るいと評判の患者講演会も行ってます。

Q10. このイベントへの思いをお願いします。

慢性疲労症候群の闘病生活が始まるまで15年間 、舞台の裏方として働いていました。裏方魂が強すぎて、表に出ることを過度に嫌っていた私のことを知っている方からすれば「あの人が啓発活動をするなんてよっぽどのことだ」と理解してもらえると思います。(笑)

お笑いライブやコメディの現場に多く携わってきたので、明るく楽しい現場が恋しくてたまりません。そんな自分が好きな空気感をご来場頂いたお客様や出演者の皆様と共有できるように目指しつつ、その中で慢性疲労症候群についても知って頂けるようにしたいです。

Q11. #MillionsMissing(ミリオンズミッシング:闘病生活で自由を奪われた患者さんたちの象徴となる靴とメッセージを並べる活動)への思いとは?

慢性疲労症候群の患者さんは外出する体力がほとんどありません。限りある体力を生活維持や通院でほとんど奪われてしまい、友人になかなか会いに行けなかったり、来客にも対応できなかったりします。明るさ・音・匂いなど外部からの刺激にも過敏になる症状が出ることもあります。さらにインターネットもあまりできず、1人で時間を過ごす方もいらっしゃいます。そうすると闘病生活は症状だけでなく「孤独」との闘いにもなります。

そんな中「どこかに仲間がいる」「理解者がいる」というのは力強い支えになります。沢山の靴が並べられているのを見て、患者にとっては「見えない仲間」の姿を認識する機会にもなります。

また、闘病生活で自由を奪われた患者さんたちの象徴となる並んでいる靴とメッセージはそれまでその患者さんが過ごしていた人生を映すものです。それと同時に奪われたものの大きさを当事者以外の方に感じて頂けるモチーフとして素晴らしいプロジェクトだと思います。

Q12. 最後に、この記事を読んでいる方に一言お願いします。

慢性疲労症候群を表すシンボルとして、青いリボンがあります。それをイメージして、動ける大切な時間の中で、みんなに慢性疲労症候群を知ってもらうために青いタッセルのピアスを作成しました。

慢性疲労症候群を発症する直前までは元気だった方がほとんどです。しかし、風邪やインフルエンザをきっかけに発症してしまう方もいれば、私のように何の前兆もなく全く何が起きたのかわからないように始まったタイプもいて、「いつ、誰でもなる可能性がある」病気でもあります。

若年患者さんは体調の悪さを訴えても、ご両親や教師がこの病気の存在を知らないが故に病院へ連れて行ってもらえなかったり、一般の検査では異常が出ないため、受診先の医師が慢性疲労症候群を認識していないと専門医へ紹介することもなく「怠けているだけ」と終止符を打たれてしまうことが少なくありません。学生時代にそのような対応をされてしまうと不登校になってしまうことが多いのです。

「知っていること」は誰かの助けになります。知るだけで誰かを助けることにつながります。

もし周りで似たような症状を訴える人がいた時に「慢性疲労症候群という病気かもしれないから専門の病院に行ってみたら?」と言えるかも知れません。また誰かを傷つけるような発言をしないで済むかもしれません。

どうか知ってください。

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