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2019.05.30

物の整理は思考の整理。高校教師で会社員、ミニマリストでアドレスホッパー、複数の肩書をもつ26歳が描く未来とは?

よしかわけいすけ

金沢市出身。高校で英語教師をしながら、ミニマリストな生活を送る

オカダユキ

撮って書いて創る!能登からワンストップでお届けするライター

石川県内の高校で教鞭をよしかわけいすけさんは、「ミニマリスト」の肩書きを持つ。

自分にとって必要最低限のものを厳選したら、車や家までも手放し「アドレスホッパー」としてゲストハウスを渡り歩く生活になったという。

さらには、昨年まで常勤だった英語の高校教員の仕事を今年4月から非常勤に変え、ゲストハウスを運営する会社の社員としても活動を始めた。

「20代のうちは、とにかく動き続けたい」と語る26歳の視線の先には、どんな思いがあるのだろうか。

自身の体験や思考をつづっているnote(https://note.mu/homeless_teacher)をもとに、さらに深堀りしたお話を伺った。

「物理的なものはなくなっても、思いがなくならなければいい。物の後ろにあるエピソードを大切にしたいんです。」

——ミニマリストになるきっかけはイギリス旅行だったそうですが、どんな旅行だったんですか?

よしかわさん:
大学の卒業旅行で、イギリスを縦断しました。はじめての海外旅行だったので、自分の英語力を試したいっていうのもあって。ロンドンからスコットランドのエディンバラまで、ひとり旅をしました。

で、そのときは旅行自体にも慣れてなかったので、キャリーバッグをゴロゴロ引きずって行ったんです。そしたらもう、どこ行くにも荷物が邪魔で…と思ってたら、欧米の人たちがリュック一つで旅してるの見て、バックパッカーかっこいいなって思いました。それが最初のきっかけでしたね。

——その旅から帰国して、すぐ物の整理を始めたんですか?

よしかわさん:
そうですね。すぐに全部捨てたわけじゃないですけど、少しずつ整理していきました。

最初は財布でした。手に持ってるのが邪魔だなってずっと思ってたので、今はマネークリップと小銭はポケットです。ポケットに小銭ジャラジャラって、おじいちゃんみたいですけど(笑)

車もほぼ家と職場の往復にしか使ってなかったんで、だったら自転車とバスでいいかなって思えて、手放しました。

——車を手放したのは、豪雪(平成30年豪雪)もきっかけだったとか?

よしかわさん:
そうなんです、雪で車が埋まっちゃって。学校に置いてたんですけど、除雪車も入れられなくて困りました。人力で、5人ぐらいでなんとか救出して。大変でしたね。あと、高い保険料にもずっと疑問を感じてて、だったらもういいやって。タクシーをよく使うようになりましたね。タクシーって余計にお金かからないの?って言われますけど、車の維持費に比べたら微々たるものです。

よしかわさんの持ち物は、これが全てだそう

——noteには、ミニマリストになるまではコレクター気質だったと書かれていてびっくりしました。「買う時点が満足度のピーク」って、名言ですね!

よしかわさん:
そうそう、服とかもそうだなって。買うことがひとつのストレス発散方法になってるというか、買って満足しちゃうんですよね。スターウォーズのフィギュアを集めてたんですけど、これってなんのためにあるんだろう?って思っちゃって。あってもなくても自分の人生に一ミリも影響ないなって。ホコリかぶってて、掃除の手間も増えるし。

——見慣れてくると価値が薄れてしまうのかもしれませんね。納得です。

よしかわさん:
サッカーのユニフォームも好きで集めてました。でも、汚したくなくて着ないんですよね。でも、ただ飾ってるだけって意味ないなと。なんで持ってるのか?なんのために買うのか?ってそもそもの理由を考えるようになりましたね、物を買う段階で。買うという行為自体をすごく考えるようになりました。

——これ捨てなきゃよかったな~って思うものはありますか?

よしかわさん:
それが、ないんですよ。なければないで、なんとかなるんです。洗濯機手放したときは近くにコインランドリーがありましたし、ほぼ外食だから冷蔵庫も必要ないし。

——思い出の品とかなかったんですか?

よしかわさん:
教師という仕事柄、もらった色紙とか手紙が溜まっていくんですよ。それは、写真を撮って捨てましたね。でも逆にそういうのって、ダンボールに詰めたり、押入れの奥に突っ込んでいたりして、そっちのほうが嫌だなって思って。忘れられて邪魔もの扱いになっているよりは、データにしたほうがいいかなって。色紙や手紙はPDFのデータにしてパソコンに入れてるんですけど、いつでもどこでも見られるし、なくならないし。物自体が大事っていうよりは、その物の後ろにあるエピソードとか思いのほうが大事だと思うんですよね。物理的なものはなくなっても、思いがなくならなければいいと思うので。あと最近はもう、物自体をもらうことが減りました。

——「物を持たない方だ」っていう認識が広まったんですね。

よしかわさん:
そうです。友達は、誕生日にはLINEギフトなんかを送ってくれるようになって。「こっちのほうがいいでしょ?」って。「よく分かっとるなー!」って嬉しくなりますね。

気付けば「ミニマリスト」、結果的に「アドレスホッパー」になっていた

——家って一般的には、自分だけの空間で、心安らげる場所というイメージだと思います。その家がないということで、落ち着けないとか安らげないということはないんですか?

よしかわさん:
たしかに、どこにいても自分以外の人がいますしね。まあでも、今のゲストハウスだと4畳の個室なんですよ。ゲストハウスってカプセルホテルのようなイメージというよりかは、個室になっているところが多いですね。意外とプライバシーのある空間になってます。

——人の物だから汚しちゃいけないとか、くつろげないとかないですか?

よしかわさん:
潔癖まではいかないですけど、もともときれい好きで、部屋もきれいに使うほうだったんで、あんまり変わらないんですよね。今は落ち着きっていうよりも、アクティブに動き回りたいっていう思いが強いのもあります。

——アドレスホッパーという言葉ができたのって、最近なんでしょうか?

よしかわさん:
名前ができたのは、1年ぐらい前じゃないですかね。

先日、東京でアドレスホッパーの集まりがあったので行ってきたんですよ。100人ぐらいの集まりでした。そこにいる人たちも、アドレスホッパーになりたくてなったというよりは、名前がついてないときからそういう生活をしてる人が多くて。自然発生的に、同時期にアドレスホッパーと呼ばれる生活をしている人が増えて、集まっているという感じでした。時代背景とか、ITの発達とか、働き方の変化とか、いろいろ要因があるとは思うんですけど。面白いですよね。そういう考え方があるって知らなくてやってたことが、実は先に始めていた人がいて、それに実はすでに名前がついてたみたいな。「それってミリマリストだよね」とか、「よしかわくんの生活ってアドレスホッパーだよね」とか人に言われて知る感じでしたね。

——noteに書かれてたゲストハウスデビューの話、すごく面白かったです。
https://note.mu/homeless_teacher/n/n7594355a65f0?magazine_key=m4b282339e74d

よしかわさん:
あれもイギリスですね。「海外のゲストハウスってこんな感じなのか!」みたいな。海外って。日本でも男女混合のドミトリーはありますけど、衝撃的でしたね。

——最近は年に2回ぐらい海外旅行をされているってことですが、どちらへ?

よしかわさん:
去年の年末年始はスペイン。その前の夏がイスラエル。あとは、タイ、オーストラリア、台湾、グアム、イギリス…ですかね。ほぼ一人で。

——それまではあまり旅行されてなかったんですね。

よしかわさん:
行っても国内のテーマパークとかでしたね。旅っていうか観光のための旅行って感じでした。有名な観光地に行って、お土産を買って、ホテルに泊まって過ごす、みたいな。最近は、そんな旅行のスタイルもだんだん変わってきましたね。最近はもうノープランで行って、現地の人たちとのコミュニケーションを楽しんでます。現地の日本人と交流するのが面白くて。なんで移住したのか?とか聞きたいんですよ。

——現地で日本人に出会えるものなんですか?

日本食レストランに行くのがおすすめです。日本食レストランって日本人が集まるんですよね。二日ぐらい連続で行くと、「お前、また来たのか!」ってなって、面白い日本人に会いたいって言ったら紹介してくれたりとか。

ミニマリスト的思考で授業も整理。生徒の成績は伸びて「ほらね!」って(笑)

——高校の先生としてのよしかわさんについてお伺いします。チョーク使わない授業って面白いですね。プロジェクターで授業をしてらっしゃるとか。

よしかわさん:
全く使わないわけじゃなく、教科書の内容を黒板に書き写してたのをやめた感じですね。前はすべて黒板に書いてました。でもあるときふと思ったんですよね、「なんだこれ?」って。生徒はただ書き写してるだけだし、時間もったいないなって。だけどそれが当たり前だったから、なかなか気づけなかったですね。

——先生になって、何年目から変わったんですか?

よしかわさん:
2年目ですね。

——早いですね、すごい!

よしかわさん:
きっかけは毎年生徒が書く先生の評価アンケートでした。1年目のときに「字が汚い」ってめちゃめちゃ書かれて(笑)、それがショックで。たしかに汚いんですよ。で、2年目でなんとか改善できないかなと思って練習したりもしたんですけど、うまくならなくて。だったらもう、大学の時の授業もプロジェクターだったし、あれ真似すりゃいいかなって。それで教科書を全部PDFデータにして、それをプロジェクターで映すことにしました。そしたら生徒にはすごく好評で、しかも時間も余るし、良かったです。

——生徒がノートを取る時間もないんですか?

よしかわさん:
ないですね。教科書にそのまま書き込んでます。

最近はもう、教えることもやめたんですけど。ほとんど「活動」ですね。4人グループで。僕が解説するというよりは、生徒同士で教科書を読み進めるという感じ。分からないことがあるときだけ、そのグループに行って教えるという感じです。

——書く活動って、授業では大事なのかなって思ってたんですけど、書かなくても記憶には残るものなんですか?

よしかわさん:
余った時間で音読をしてます。1回書く時間があれば、5回ぐらい読めるんですよね。英語っていかに触れるかだと思うんで。今までは、実践的な内容まで踏み込む時間がなかったんでしょうね。僕はその時間を短縮することによって、アウトプットの場が多くしています。

——同じ学校でも他の先生とは全然違う授業スタイルかなと思うんですが、先生方からの評判は?

よしかわさん:
はじめは「そんな授業で、成績落ちたらどうするんだ」とか、すごく言われました。でも、やってることは一緒だし、なんならもっと多くのことができるっていう自信があったんで、無視し続けました(笑)

結果的には、僕の担当は全クラス成績が伸びたし、ライティングに関していえばコースの中では一番で。「ほらね!」みたいな(笑)

生徒の評価アンケートも年々良くなってます。4月にクラスがわったときに、「今年も先生の授業が良かったのに」って言われることが増えました。間違ってなかったなって思います。

最近は学校として、ICTというか、タブレットなどを使った授業をてこうって言ってて。

——それは、よしかわ先生の影響で?

よしかわさん:
きっかけになったかなとは思います。それまでゼロでしたからね。

今は学校として、部署を新しく作ったりだとか、ipadを300台ぐらい導入したりっていう取り組みが始まりました。

——スマホで、googleフォームを使って授業のアンケートを取っているって書かれてましたもんね。自分の時代じゃ考えられないですけど、今ならたしかに全員使えますもんね。

よしかわさん:
校内SNSがあるんです。アプリで。クラスごとにグループがあって、僕はそこに授業で使ったスライドをシェアしています。

——教育現場にも時代の流れが反映されてますね。今後よしかわさんが目標にされているという、「先生のためのオンラインプラットフォーム」ってどういうものなんですか?

よしかわさん:
スライドや授業の資料なんかは、いまは一から作ってますけど、内容は同じだし共有できたらいいな、とか。ほかにも、授業のアイデアとか、プリントとか学級通信とか。全国の先生でシェアできたら、作る労力が減るかなと。今はそういう場所はないんですよね。一部の先生だけじゃなくて、みんなで共有できたらいいなと思います。部活動の顧問とかやってると、セミナーや勉強会に行く時間なんてないし、土日もないし。そういう先生たちが、オンラインで繋がれたらいいなって。

——精神面のサポートにもなりそうですよね。

そうですね。オンラインで同じ悩みを共有したり、相談したりできたらいいですね。熱心な先生であればあるほど、自分で抱え込んじゃってつぶれてしまう人もいますからね。

学校の先生と会社員という二足のわらじ。相乗効果で、次の日に経験が活かせるスタイル

——去年までは、担任を持つ常勤だったそうですが、今年から非常勤に替えられたのは、今後の動きのためですか?

よしかわさん:
そうですね。正社員だと副業ができなかったりとか、時間的な制約が大きかったりするので。働く時間は半分になりましたね。今はもう、平日の午前中しか先生の仕事してないです。他の時間は自分の活動をしてますね。

——ゲストハウスの社員になったんですか?きっかけはあったんですか?

よしかわさん:
そうですね、金沢市内にいくつかのゲストハウスを運営している会社の社員です。もともと、先生の仕事だけで一生を終えるつもりはなくて、3年で転職しようと思ってました。一度学校を辞めて、企業で働いて、また学校に戻り、企業で学んだことを活かそうかなって思ってたんです。それで去年、東京や海外に行こうかと思って転職活動してたんですけど、そのタイミングで「先生をしながら、一緒に働かないか」って声をかけてもらって。副業スタイルなら、それが次の日にすぐ学校で活かせるなって。「それいいな!」って思って、そっちを選びました。

——ゲストハウスの社員としてのお仕事は、今はどのような感じなんですか?

よしかわさん:
今はまだ研修中ですね(2019年4月現在)。掃除とか、受付業務とか。今後は、いちばんやりたいのは、イベントの企画です。今まで個人でやってたイベントを、会社としてやっていきたいです。ゲストハウスを、旅人だけじゃなくて地元の人にも使ってもらえるような場所にしたいなって思ってます。

「金沢に、学生のためのコミュニティスペースを作りたいんです」

——SNSのプロフィールに「起業準備中」とありますよね。起業とは、どんなことを考えていらっしゃるんですか?

よしかわさん:
金沢に、学生のためのコミュニティスペースを作りたいなと思ってます。東京や大阪には当たり前にあるんですよ。金沢には、大学が多くてエリアも集中してるのに、ないんです。僕は本業の傍らで進めてるので、あんまりスピード感はないんですが、準備中です。

——学生のためのスペースって、需要があるものなんですか?

よしかわさん:
学生団体の活動の場になったり、起業したい学生が集まったりすることになると思います。あと、学生と社会人の接点をもっと作りたいなって。そういう機会って必要だなと思うんです。僕も学生のときは、大人たちにあんまりわない、学生の中だけで過ごしてたんで。今僕の周りにいるような人たちに、学生の頃に出会えてたら、進路も違ったかなって思いますね。

——世界が広がりますよね。いつ頃までに起業の予定ですか?

よしかわさん:
今年中には。場所もなんとなくは決まってます。そのために今は県外の事例を見て回ってる感じですね。まだ準備中ですけど、実現したいです。

取材を行ったカフェは、よしかわさんがこのとき宿泊していたゲストハウスに近い金沢市東山。取材後、小春日和の浅野川沿いを歩き、さらにお話を伺いながら宿泊中のゲストハウスを案内してもらった。

宿泊中のゲストハウスは快適そうな4畳の個室だった

自身の活動を通して「物事の本質を見ることの大切さを、もっと伝えていきたい」と語るよしかわさん。「そもそも、なぜ必要なのか?と考えることが大事だと思います。物理的なものの必要性だけじゃなくて、考え方などにも応用できるはずです」。

爽やかな好青年だが、今は結婚や安定よりも、出会いや刺激を求めたいという。

「30歳までは、やりたいことは全部やろうって思ってます。今26なんで、あと4年ぐらいは走り続けたいですね。いろんな人に出会って、いろんなことを知りたいです」

よしかわさんの足である自転車

さすがは高校の先生、はきはきと伝わりやすい言葉を選んで、多くのことを語ってくれた。

日本を代表する観光地である金沢で観光産業を学びつつ、その未来を担う若者たちをリードしていくよしかわさん。

持ち前のスマートな思考が、これからどのように発展し、形になっていくのか、今後も目が離せない存在である。

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