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2019.05.30

「ハンデが個性に昇華される世界を」ロボジョが語る野望と<技術×エンタメ>の未来 古澤美典さん

古澤美典

九州大学大学院 統合新領域学府 ユーザー感性学専攻。自称ロボジョ

鎌田麻以子

一児のママ兼スペイン駐在員。コーチングもしてます。お茶大好き

SF映画のようなワクワクする世界。

自分で作ってみたいという思うものの、何かを作ることは容易いことではなく、本音を言えば誰かが作ってくれるのを待っていたい。だけど、それではあまりにも他人任せでもどかしい。

だから、自分が作ってみたい未来を、作り始めている人を応援してみたい。

そんな気持ちの人、少なくないはず。

だから私は、ワクワクする未来を作っている人を探し出し、応援する記事を書いていくことにした。

今回紹介するのは、自称「ロボジョ」の古澤美典さん。国際的なロボットコンテストに技術者および操縦者として出場したり、企業と共同で子供向けロボット教材をプロデュースしたり、とロボット愛が炸裂中の彼女。しかし、彼女が本当に作りたいのは、単なる高性能ロボットではないと言う。

では、どんな未来を作ろうとしているのか。ずばり彼女の野望を伺った。

今回スポットライトを当てるのは、自称「ロボジョ」古澤美典さん

技術とエンタテイメントの掛け合わせでハンデさえも個性に昇華する

「死ぬまでに成し遂げたい野望があります。」

古澤さんは大胆に切り出した。

「テクノロジーとエンタテイメントを掛け合わせて、心身の不自由をコンプレックスやハンデではなく、ある種の武器や個性に昇華するということです。」

真っ直ぐそう宣言すると、まるでその様子を今見てきたかのように具体的な未来を語り出した。

「義手や義足など義肢をつけてる人が、

『今日はクラブに遊びにいくから、バッチバチに光るこっちの義手を着けていこう~』

とノリノリで義肢を選び、それを見た友人が

『あっ!今日のデザイン、かっこいいね!』

なんて盛り上がる。

まるでメガネをファッションとして取り入れるように、TPOに合わせて楽しみながら義肢を選び、自己表現ができるんです。

メガネだって元々は視力が弱い人向けの矯正器具でした。それが、今では立派なファッションとして認知されています。」

そう夢を掲げる古澤さんの直近の目標は、ロボット競技の国際大会【RoboMaster】での優勝だ。

傍目には、彼女の描く未来像とロボット大会には隔たりがあるように映る。なぜ彼女はそこにマイルストンを設定しているのだろうか。

自らの手で未来を創る最短ルートがロボット作りだった

「私にとってものづくりは、もちろん楽しいことです。しかし、それはあくまでも『手段』にすぎません。

その先にある夢に近づくために、頭を使って、手を動かして、ものづくりを続けていくことが大切なんです。

そして、ロボットには、センサ、モータ、金属加工、電気、制御システムなど、ハードとソフト両方のあらゆる要素技術が集約されています。

だから、ロボット作りを続けることはものづくりの力を高め、自分の夢に近づく最善の道なんです。」

今年8月には、中国の深センにて【RoboMaster】という世界最高レベルのエンタテイメントロボットの国際大会が開催される。古澤さんの所属するFUKUOKA NIWAKA(フクオカニワカ)というチームは、福岡の学生や技術者を中心に結成されており、日本からは唯一の出場チームだ。昨年は初出場ながら世界中の強豪を相手にベスト16入りを果たした。古澤さんはロボットの加工や組み立てなどハード面の製作に加え、大会当日は操縦者も務めた。今年こそは優勝を勝ち取りにいくと意気込む。

昨年のRoboMasterでロボットを操縦する古澤さん

ロボットに情熱を注ぎ続ける彼女だが、ロボット作りはウンウンと唸りながら苦悩している時間のほうが長いという。

「『ロボコンは呪いだ』と言われています。

ロボットって作っているときは楽しいんですが、いざ動かしたらなんか違う、うまく動かないことがほとんど。しかも、不具合の原因はすぐにはわからない。だから一つ一つケーブルを抜き差ししてみたり、部品の位置を微調整したりして原因を特定して直していくんです。

深夜のテンションで感覚麻痺して作業することも多いですよ。

で、こんなに苦労してようやく直してあげても、ロボットは『ありがとう』って言ってくれないんです。」

苦労話をしているはずなのだが、不思議なことに彼女の目の輝きはますばかりだ。ロボットを愛おしむ気持ちが溢れ伝わってくる。

自分も問題の当事者の一人。だから、自分で作ることに価値がある

これほどまでに彼女が「自分で作ること」にこだわり続けているのには、もちろん理由がある。それは、自分自身が幼いころから身体が弱かったり、成人後も精神疾患や発達障害と向き合っていたりと「心身の不自由」を抱える当事者であるということだ。そして「心身の不自由」から生じる不利益や制約、そして負い目をなくしたいと本気で考えてきた。

そんな彼女がエンタテイメントとテクノロジーの掛け合わせによって世界を変えられる可能性に気づいたのは、高校生の時だった。

当時、初音ミクの登場で流行り始めていたボーカロイド(音声合成技術)に出合い、衝撃を覚えた。

「ボーカロイドは、もともとはエンタテイメント用途を想定して開発された音声合成技術です。

ところが、吃音でうまく会話ができない人や障害があって声が出せない人が、ボーカロイドを使って歌い、自己表現をしていました。

ボーカロイドは単なる声の代替手段ではなく、彼らの想いを表現する手段としても使われていたんです。」

この衝撃的で感動的な出合いが、今の夢の構想の下地になっている。

「夢の実現手段は、ボーカロイドのようなソフトウェアか、サイボーグのようなハードウェアかといったジャンルにこだわりはないんです。誰かが出来なかった”何か”をできるよう不自由を解消する、さらにそれを個性の表現に昇華する。

そんなプロダクトを作れたら幸せだなぁと思いますね。」

夢を叶える仲間、大募集中

ビジョンと行動力、そしてロボット作りの能力を兼ね備えた彼女だが、自分が万能ではないことも知っている。そして、野望を成し遂げるためには仲間が必要なことも。

「私が苦手なことを苦としない人とつながりたいです。

私の得意領域はアイデア出しからプロトタイピングまでの0から1まで。これって、そのままにしておくと、アイデア出しっぱなしになってしまうんです。

だから、1から10までが得意な人、つまりアイデアを最後まで完成させ、そして持続させるのが得意な人とつながりたいです。」

そして、何よりも重要な要素として次の点を強調した。

「野望や夢を持ち、実際に行動しているという人。これが大事です。」

「これって自分のことだな」と思った方は、迷わず彼女にDMしてほしい。

FUKUOKA NIWAKAのチームメイトと試合会場に入場し、気合を入れている古澤さん


もう一つ、古澤さんを応援する方法がある。ロボコンチーム「FUKUOKA NIWAKA」がクラウドファンディング中だ(2019年5月31日まで)。19のコースの中から一口1000円から100万円まで選んで支援できる。古澤さんやチームを応援したい人にはぜひ協力を協力をお願いしたい。

「近づいてきたチャンスは全部掴み取りにいく」という古澤さん。夢が実現する日もそう遠くないはずだ。

本記事が古澤さんの仲間づくりやクラウドファンディングの協力者集めに役立てたらと願っている。もちろん、私もこのSpotwrite記事作成の取材支援費はクラウドファンディングに全額投入済み。

(2019/6/4 追記)
こちらのクラウドファンディングは5/31に終了し、合計2,134,000円(達成率106%、支援者203人)の支援を集めることに成功されたそうです!

古澤さんTwitter


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