SPOTWRITE > 健康・医療 > 「うつ病になっても人生詰むわけじゃない」諦めている人に伝えたい、メンタルハッカーのメッセージ
2019.05.30

「うつ病になっても人生詰むわけじゃない」諦めている人に伝えたい、メンタルハッカーのメッセージ

ほっしー

うつ病の知識や考え方を発信。2018年メンタルハックの書籍を出版

くまのなな

睡眠と水遊びが好きなフリーライター。座りすぎてお尻が痛いです

うつ病の患者さんは年々増加しているとも言われていて、今や社会問題になっています。隣で笑うあの人がうつ病だったとしても、なにも不思議ではない時代。

『メンタルハッカー』として活動中のほっしーさんも、24歳のときにうつ病と診断されました。診断されたとき、絶望の中で「もう死ぬしかない」とまで思ったそうです。

その大きすぎる苦しみを、ほっしーさんはどのように消化して、乗り越えていったのでしょうか?そして、自分はうつ病にならないと思っている人こそ知っておきたい、大切な心構えも、最後に教えていただきました。

うつ病になったのは、日々の積み重ね

――インタビューを受けていただいてありがとうございます。メンタルハッカーとして活動中のほっしーさんですが、現在はどのようなことをされているですか?

今は、Twitter・ブログ・YouTubeで、うつ病の知識や考え方について発信しています。去年、『うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた』という本も出版しました。

――ほっしーさんがうつ病になったきっかけは、大きな原因がドーンと落ちてきたイメージですか?それとも、小さなことの積み重ね?

積み重ねでした。僕だけじゃなくて、みんなそうだと思います。自分では1つのことがきっかけだと思っていても、結局それは引き金でしかなくて。

恋愛に例えると、彼氏の発言が気に入らないから別れるって言っている人も、1つの発言だけが別れたくなった要因じゃないと思うんです。それまでの彼氏の言動にイライラが溜まっていて、あるとき言われた言葉で、もう無理!ってなるだけじゃないですか?

――うわー!それ、すっごくわかります…。

そうですよね(笑)

僕の場合は、完璧主義で、元々が人の目を気にしてしまうタイプなんです。小さなストレスを抱えてる状態で、残業が多い仕事を続けていくうちに、うつ病と診断されるところまでいってしまって。

退職直後のほっしーさん

――ハードなお仕事だったんですね。

名古屋でエンジニアをしていたんですけど、本社は東京なんです。40人くらい同期がいたんですが、みんな一緒に東京本社で研修を受けて、僕だけが名古屋支店の配属になったんです。

――40人中、1人だけ!?

はい。僕、大学を卒業した後に専門学校に行ったんですけど、相当勉強したんです。同期と比べるとエンジニアとして優秀だったから、「1人で名古屋に行っても大丈夫だよね」と言われてしまって。同じ職場の人は、年が近くても10歳上とかなんです。気軽に相談したり、愚痴りあえる人がいないのは辛かったです。

――確かに、それは辛い…。

あと、僕がいつも半分冗談、半分本気で言ってるのが、弁当がまずかったこと。

――お、おべんとう?

そう、弁当。

会社員時代は、残業が月100時間を超えるときもあったので、自炊がなかなかできなくて。近くのスーパーも、フルーツが1個800円もするような高級スーパーしかなかったんです。

だから、近所のコンビニで毎日弁当を買っていたんですけど、それが本当にまずいんですよ。弁当もパンも全部まずかった。だけど、他に買えるところもなかったから、毎日まずい弁当を食べてたら、どんどん辛くなってきたんです。

――確かに、食べ物がまずいと心のうるおいがないかもしれない…。

本当に、一度経験してもらいたいです。1ヵ月まずい飯しか食べられなかったら、どれくらいの人がうつ病になるのか。

心配されるのは、嬉しさより申し訳なさのほうが大きい

――うつ病になって、相手は善意で言っていることでも、「あれは嫌だったな」と思ったことはありますか?

「もっと外に出たほうがいいよ」「運動したほうがいいんじゃない」のような、よかれと思ってのアドバイスは辛かったです。正直、精神科医に言われたとしても嫌かもしれない。

相手に言われることって、ほとんど自分でもわかっていることなんです。例えば学生のころ、「将来のために勉強したほうがいいよ」って言われても、そんなことわかってるわい!ってなるじゃないですか。

――確かに!絶対なりますね。

うつ病だからって言うより、わかっていることを言わなくていいよって思ってしまったんですよね。

――放っておかれたほうがよかった?

人にもよるとは思うんですけど、僕は放っておかれたほうが楽でした。

SNSで、お子さんがうつ病の親御さんに相談されることもあるんです。僕は、「子どもが夏休みで家にいると思ったらいいですよ」って言ってます。休みだから家にいるって、当たり前じゃないですか。うつ病だからどうこうではなくて、今まで通り接するだけでいいんです。

――特別扱いするのではなく、今まで通りでいいんですね。

心配されたり特別扱いされたりするのって、嬉しさがないわけではないんですけど、申し訳なさのほうが多いんですよね。うつ病って、いつ治るかわからないじゃないですか。自分でもわからないんです。だから、ずっと長い間、気を遣わせるんじゃないかと思ってしまうんです。

うつ病と戦うための武器をそろえた

――うつ病を発症してから、気分が落ち込むときはどんなときでしたか?

時期が関係しています。10月~12月は調子が悪い。冬季うつっていうのがあって、冬場に気分が落ち込む人がいるんです。僕もそういうところがあると精神科の先生に言われました。10月ぐらいから気分が落ちてきて、年明け前くらいからちょっとずつ上がってくる感じですかね。

あとは、うつ病になってから、低気圧の影響を受けるようになりました。生活に支障が出るわけではないんですけど、低気圧の日はなんかだるい。気合で乗り越えられないことはないけど、まぁ、気合は使いません(笑)

――そうですね!無理せずモードでいきましょう。現在は、うつ病は完治されていますか?

完治だと少し語弊があるため、寛解(かんかい)って言い方をよくします。完治って言ったら、もう薬も何も飲まなくてオッケーで、絶対に再発の恐れがないっていう状態。寛解っていうのは、薬で症状が抑えられてる状態で、今は安定している状態。

僕も、今は寛解の時期ですね。もう2年以上は、生活や仕事に支障がない状態が続いています。僕は、精神疾患に完治ってないのかなと思っています。症状が出ない状態が長く続いて、そのうちもしかしたら完治するのかも、くらいのイメージです。

――症状がよくなっていく過程で、食事や運動など、効果があったことはなんですか?

食事は、特に効果があったものはないですね。僕がやってよかったなと思うのは読書です。特に、精神疾患について書かれた本や、心理カウンセラーの方が書いた本を読んでいました。あとは、自己肯定感の高め方とか。

読書をしてく中で、自分の武器を作っていった感じです。

――武器って、例えばどんな風に作っていったんですか?

外から来るストレスって、敵みたいなものじゃないですか。そのストレスを倒すために、万能な武器はないと思っているんです。この敵にはこっちの武器、この敵にはあっちの武器って、種類をそろえていくしかないと思ったんです。

――炎タイプには水攻撃!草タイプには炎攻撃!って感じですか?

そうそう!そういう感じです。

諦めないでほしいから、毎日毎日発信している

――ご自身の経験や、本の知識を活かして、ブログやTwitterで発信していますよね。そういった活動を始める、きっかけはありましたか?

最初は、自分と同じ症状の人をTwitterで探して、自分がよくなるヒントがあるか見ていたんです。それに加えて、インターネットでも色々調べました。

インターネットで調べていく中で、うつ病の当事者目線で書かれている記事の中に、ポジティブなものがほとんどないことに気がついたんです。僕が調べた当時あったのは、それこそ「死にたい」とか、ネガティブなものしかありませんでした。

逆に、Twitterには、ポジティブな情報が流れていたんです。でも、それはバラバラの情報で、まとめて見ることができなかった。

うつ病に対して、ポジティブな情報がまとまっているものがあれば、自分も調子が良くなるかもしれないし、人の役にも立てそうだなって思って。それから、まずはブログを始めました。1年くらいは、全く反応がなかったと思います。

――反応がない中で、ブログ更新のモチベーションを維持できた理由はなんですか?

元々、SEOの知識は持っていたんです。最初の1年は読まれないだろうなと思っていたので、あまり反応がなくても気になりませんでした。あとは、単純に書くことが好きっていうのがあったので。

――SEOの知識は独学ですか?

そうです。ネットで調べて。

――おぉ、すごいですね!うつ病によって会社で働けなくなった人から見ると、会社を辞めても自分の力で生きているほっしーさんは、きっと希望になると思うんです。自分の活動を見た人が、どのように感じてくれればいいなと思いますか?

うつ病になると、人生終わったと思う人が多いんですよ。うつ病になった当初は、僕も思ってました。自分なんか、生きていく価値がないって思ってしまうんです。社会復帰できても、ろくな仕事ないだろって。新卒カード使い切ったら終わりみたいな、変な風潮ってあるじゃないですか。

僕もそういうイメージを持っていたけど、今は、生きる道は就職だけじゃないよなと思っています。別の方向から人生をうまく変えていくことは、誰にでもできる。このことは、伝えていきたいなと思います。

最近のほっしーさんのお写真

――うつ病の人に、これだけは伝えたいと思うことはありますか?

根性論になるからあまり言いたくないんですけど、「諦めないでほしい」とは思っています。人間関係もそうだし、仕事もそうだし、病気に関してもそうなんですけど。

やっぱり、諦めちゃうと終わっちゃうんですよね。諦めなかったら、意外となんとかなるって、自分の経験で言えるので。諦めないでほしいから、毎日毎日発信しているんだと思います。

自分がなるまでは、うつ病は甘えだと思っていた

――最後に、うつ病ではない人に、これだけは伝えたいと思うことはありますか?

うつ病って、普通の病気なんですよ。甘えとかじゃなくて、誰でもかかる病気なんです。

例えば、水泳で金メダルを何個も獲得しているマイケル・フェルプスさんや、ジャスティン・ビーバーさんも、うつ病の治療を受けているそうです。

どんな状況にいる人でも、うつ病になる可能性はある。「うつ病は心の風邪」って言ったりもしますよね。あれって、当事者からすると嫌いな言葉なんですけど。

――え、そうなんですか?

だって、風邪みたいに簡単には治らないから。でも、風邪みたいに簡単にかかるんです。気合とか根性でどうにかなる病気じゃないってのは、知っておいてほしいです。

これは、「うつ病なんて甘えだろ」って言われたら、精神疾患の人が傷つくからだけではないんです。それもあるけど、それだけじゃなくて。

僕の経験から言えるんですけど、弱者に対して優しい気持ちを持っていないと、弱者に回ったときに死ぬ思いをするんです。実は、僕もうつ病になる前は、うつ病は甘えだと思っていました。気合が足りてないだけとか、普通の落ち込みと変わらないだろうって。

だから、自分がうつ病になった時は、もう死ぬしかないと思いました。弱い自分が受け入れられないんです。生き恥をさらすくらいなら、死んだほうがいいって思ってしまう。

――完璧主義の人だと、特にそう思ってしまうのかもしれないですね…。

そうです。だから、弱者に優しくするっていうのは、別に相手のためだけではないんです。自分だって、いつ弱い立場になるかわからない。優しさを持つことは、実は自分のためにもなるっていうのは、ぜひ知ってもらいたいですね。

――本当にそうですね。「うつ病は甘え」だと思っていたほっしーさんの言葉だからこそ、心に深く刺さる気がします…。

本日はありがとうございました!今後のほっしーさんのご活躍を、応援しています!

<クラウドファンディングのご紹介>

ほっしーさんが生みの親の『うつマッピング』が、『メンタルマッピングアプリ』としてパワーアップ!

自分のメンタルを簡単に自己客観視できるように、日常使いのしやすいアプリとして開発が進んでいます。

現在、より良いアプリ開発のために、クラウドファンディングで支援を募集しております。

生きづらさ解消を目指しているほっしーさんの活動を、ぜひ一緒に応援しませんか?

https://camp-fire.jp/projects/view/131570


出版物:うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた Kindle版
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCJZgsdInfXx_ewrmXrpioJQ
Twitter:https://twitter.com/HossyMentalHack



Amika Yamadapeople_frame.png

好きなことで、生きていく。動物愛護に向き合い続けたNPO法人「KATZOC」代表・Amikaさんの8年

NPO・団体

ほっしーpeople_frame.png

「うつ病になっても人生詰むわけじゃない」諦めている人に伝えたい、メンタルハッカーのメッセージ

健康・医療

たかれんpeople_frame.png

「フリースクールの存在を知り自分の進むべき道が決まった」たかれんがフリースクールRizを立ち上げるまで

NPO・団体

tomipeople_frame.png

「何者かになろうとするのはやめた」 等身大占い師が生きづらさを手放せた理由とは

ライフスタイル

橋本ナオキpeople_frame.png

「当たり前と思っていたことを、疑ってもいい。」人気漫画家が語る、脱サラから書籍化までの小さな積み重ねとは。

アート・カルチャー

古澤美典people_frame.png

「ハンデが個性に昇華される世界を」ロボジョが語る野望と<技術×エンタメ>の未来 古澤美典さん

インターネット・コンピュータ

斎藤優也people_frame.png

「パン屋さんっていいな」と感じてもらいたくて。フードロスの削減に挑むパンの通販サイト「rebake」

グルメ

Tenpeople_frame.png

障害、病気、さまざまな事情を抱え、それでも自分らしく生きるために。「Ledesone」Tenさんと大川弘晃さんの挑戦

インターネット・コンピュータ