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2019.05.30

愛媛県三瓶町にイタリアの香りを届ける「晴れ空バール」バリスタKyoroさん

バリスタKyoro

岡山を拠点にフリーランスバリスタとして活動

スズキヒデノリ

名古屋市、1985年生まれ。ライター、ブロガー、インタビュアー

本記事は、偏愛と日常を届けるインタビューメディア「aboutalkからの転載です。転載元:https://aboutalk.com/harezorabar/

知り合いに珈琲好きが多いし、僕自身もハンドドリップで珈琲を淹れることがある。日常の中にゆったりとした空間を演出することができる珈琲が好きだ。

だからこそ気になった「晴れ空バール」のバリスタKyoroさん。出張バリスタとしてドリップコーヒーではなく、エスプレッソコーヒーを提供しているとか。

エスプレッソコーヒーは専用のマシンが必要だったり、そのマシンの大きさや重さがネックになり諦めてしまう人が多い中、移動販売するというスタイルに強く惹かれてしまった。

岡山市内でエスプレッソとティラミスのイベントを開催すると教えて頂き、バリスタKyoroさんと、一緒に活動をされているちこりさんにお話を伺ってきた。

40kgのマシンと数十個のカップ

--エスプレッソを各地で提供するスタイルは大変だと聞いたことがある。実際のところハードルが高くないのだろうか。

エスプレッソコーヒーを提供するには、専用のマシンが必要になるんです。そのマシンは100ボルトのコンセントがあれば動くんですけど。

そのマシン、40kgあるんですよ。セミナーやイベントでエスプレッソコーヒーを提供するときは、そのマシンを二人で部屋から担いで持ち出して、車に積んで会場に向かいます。

コンセントと水があれば、どこでもエスプレッソは提供できるんですけどね。それだけじゃなくて、お客様に使って頂くカップも一緒に数十個持っていくので、機材だけでも相当なボリュームになります。

もっと簡単にならないかな、と思うんですけど、できるだけ上質なエスプレッソをお客様に味わって頂きたくて。大変でもこれは譲れないところですね。

こだわることで生まれる会話

--移動販売を通じてお客さんとのコミュニケーションを大切にしているという晴れ空バール。会話の大切さについて一緒に活動されているちこりさんに聞いてみた。

機材やスタイルにこだわることで、そこに会話やコミュニケーションが生まれるんです。対面で珈琲を提供している一番の楽しみかもしれません。

例えばエスプレッソには「シングル」と「ダブル」の2種類の量があるんです。メニューを見たお客様は「シングルって何」「ダブルって何」「いつものコーヒー(アメリカーノ)とは何が違うの」と思われます。そこに会話のきっかけが詰まっているんです。

エスプレッソの説明や、飲み方について紹介するんですけどね。飲み終わったお客様から「味わって飲んでみたわよ、美味しかったわ」なんて言ってもらえると、お客様とコミュニケーションをとって本当によかったと思います。

せっかく出会えたお客様なので会話を楽しみながら、美味しいエスプレッソを提供できる空間を作れたら。そんな気持ちで、私はカウンターの外からアプローチしているんです。

コンビニをはじめ、手軽にコーヒーが飲める時代だからこそ、お客様との会話や場作りを大切にして、みんながハッピーになれるような空間作りを目指しています。

飲んで美味しかった。それだけで終わらないように。

ふとしたときに「あのカプチーノ美味しかったね、あの店員さん面白かったね」なんて思い出してもらえたら最高ですね。

お客さんのバリアを突破できるとき

--お客様との会話、接客はカウンターの中からも積極的にアプローチするという。珈琲と会話が結びつく原点になったものは、どんな経験だったのだろうか。

以前、働いていたカフェにエスプレッソマシンがあったんですが、使い方を詳しく知っている人がいなくて。そのマシンの使い方やコーヒーの淹れ方を勉強していました。

そのお店に毎日通ってくださっている男性のお客さんがいたんです。見た目はちょっと怖い印象だったんですけど。毎日来てくださるので、「珈琲やお店が好きなんだろうな」と思っていました。ただ、なんて声を掛けていいのか分からなくて。

どうにかそのお客様と会話できないかな、と考えていたんです。

エスプレッソマシンの練習の成果もあり、カプチーノを可愛く上手に注げるようになったとき、そのお客様に「何か絵を描いてみよう」とチャレンジしたんですよ。

たしか、スマイルマークの絵を描いたカプチーノを提供したときに、そのお客様がとびっきりの笑顔で笑ってくださって。私もすごく嬉しくなっちゃいました。

それがきっかけで「この絵はあなたが描いたの?」「練習したんだね」とカウンタ越しにお客様と会話が生まれるようになったんです。

そこから、お客様と接していく、会話をしていくことが大事なんだ、と感じるようになりました。

体験してもらえる楽しさ

--今回お邪魔したイベントは「3種類の豆を使って変わるティラミス食べ比べ会」だった。普段もエスプレッソレッスンや、デザインカプチーノレッスンをされているという。

今回のイベントはエスプレッソの飲み比べと、ティラミスの食べ比べなんです。スポンジケーキを浸すエスプレッソの豆を変えてみたら、どんな変化があるのか。色の変化や味の変化、風味や香りの変化など体験できるイベントになっています。

実際に自分が体験してみると、印象に残るんじゃないでしょうか。そういえばあの時…なんて思い出してもらえると嬉しいですね。

普段から、エスプレッソの淹れ方レッスンや、デザインカプチーノのレッスンをしていると、ご自身でできるようになったときの喜びを一緒に感じることができて。やってみるって大事だなと思っています。

今回もせっかくなので、デザインカプチーノも一緒にやってみたんです。ベースの部分は私が用意して、キャラクターや模様を描くところは、参加者の皆さんにやって頂きました。

エスプレッソとミルクの泡を使うと、初心者の方でも絵を描くことができるんですよ。こうやってエスプレッソやカプチーノとの距離が近くなればいいですね。

試行錯誤の愛媛県西予市三瓶町

--バリスタKyoroさんと ちこりさんはバスケットボールサークルの仲間だったとか。そのサークルの先輩が、愛媛県三瓶町にゲストハウスを作った。

愛媛県西予市三瓶町、人口6,711人、60歳以上が半数を占める(2019年3月末現在)。愛媛県の西部に位置しリアス式海岸の三瓶湾が開ける。はまちやヒラメの養殖など漁業や農業が盛ん。

バスケットボールサークルの先輩が三瓶町にゲストハウスを作ったんです。そこでイベントやらない?と誘ってもらったことをきっかけに、2017年6月、三瓶町で出張バリスタを開催しました。

ツイッターなどのSNSだけで集客できるのだろうか。SNS世代じゃない人や地域の人にも来て欲しい。とあれこれ作戦会議をしていたんです。

そこで活躍したのが、なんと町内放送なんです。1回200円で放送させてもらえる町内放送を使って宣伝したところ、開店と同時にたくさんの地域の皆さまに来ていただけたんですよね。

ちょっと山の上にあるゲストハウスなので、歩いてくるのも大変なんですが、おばあちゃんたちが杖をついて歩いてきてくれて。

「プロが淹れたコーヒーはうまいなぁ」「ティラミス、また食べたくなったよ」なんて言ってくださるので、本当にやってよかったな、って。

バリスタのこと、イタリアンバールのこと、カフェの文化のこと。そうやって最近の話をすると、「昔はなぁ」って、懐かしい思い出話を聴かせてくれる。そんな素敵な方がたくさんいる場所なんですよね、三瓶町って。

みんなが優しく迎え入れてくれて、私たちのことも尊重してくれて。

だからやっぱり、三瓶町で挑戦してみよう。そう思って本格的に動き出したところです。

移動式イタリアンバール

そんな三瓶町に魅せられて、色んな地域の皆さんに新しい文化や情報をお届けしたいと思うようになりました。

お店に来れない方にもアモーレな一杯をお届けしたくて、ケータリングカーを導入することにしたんです。これについてはクラウドファンディングに挑戦しています。

7月頃には三瓶町で、車庫を改造した店舗を作る予定です。より多くの方に三瓶町に来て欲しいですしね。

せっかく移動式のイタリアンバールを作るので三瓶町に限らず、ふるさとの岡山や全国に本場のエスプレッソやカプチーノ、イタリアの文化を届けていこうと考えています。

田舎は何もないと言われていますけど、田舎にもいいところがある。ここでもできるんだ、という可能性を移動式イタリアンバールから発信していきたいですね。

インタビューを終えて

お忙しい中、直前のお約束にも関わらずありがとうございました。

「アモーレな一杯を」をテーマにされているだけあってバリスタKyoroさん、ちこりさんともに、ハートフルに迎えていただきました。

エスプレッソやカプチーノへのこだわりもさることながら、イベント会場ではお客様に対する優しさでいっぱいになっていました。

エスプレッソを通して、イタリアの文化を伝えていきたい。ふらっとカフェに入ったら、そこで会話が生まれるような空間を作りたい。彼女たちの思いがカタチになるのは、遠くないでしょう。

先の移動式イタリアンバールの活動で、5月29日までクラウドファンディングをしているとのことです。ぜひ一度覗いてみてください。

【アモーレな一杯を】移動式イタリアンバールを作って限界地区にコーヒーを届けたい!

バリスタKyoro

ツイッター…(@BaristaKyoro)
インスタグラム…(@kaori.omi.kyoro)

ホームページ…http://baristakyoro.com/

晴れ空バール

ツイッター…(@harezorabar)

写真協力 バリスタKyoroさん、ちこりさん

取材・文 スズキヒデノリ(@acogale)

[aboutalk編集部]

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